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4月の飼育へ


産卵と稚魚の飼育

 今こうして書いているのが、12月末であり、産卵と言う事には随分先の事と思えるが、しかしその準備はすでに始まっている。
私が冬囲いをしたのが、自分の誕生日である12月12日で(毎年このころ)、普通産卵から(準備から)1ヶ月前位に冬囲いを解くので、約3ヶ月餌を切り(つまり3ヶ月冬眠状態)産卵に備える。で、3月上旬から中旬に冬囲いを取って産卵に向けて始動するわけである。
  土佐錦魚の謎でも産卵には触れているが、この「産卵と稚魚の飼育」では以後その月別に詳しく、産卵から孵化、そして選別、飼育までを画像を交えながら、説明して行きたい。

 親魚で採る場合には、すでにオスメスは判っているでしょうから(自分で飼育していれば)問題ありませんが、明け2歳を使用する場合は前年判る場合と判らない場合があるので、注意が必要です。ただ、薄青水から更水に変われば、殆どの場合オスに追星が出ますし、メスは腹が膨らんできます。例外的にオカマのようなオスでもないメスでもないものが、1割ぐらい出るのでこれは産卵に使用できません。追わない、追われない魚です。
 明け2歳ならば10尾位用意できてれば、産卵は問題無いと思われます。親魚はやはり入手するには高価ですし、3歳4歳ならば問題ありませんが、5歳以上になるとどうしても産卵行動が遅く、5月下旬以降と言う事も多いので、私の場合は使用しません。
 2歳を使用する場合は、充分追星が出たもの、(鰓蓋にまで)を使用しなければ難しく、またメスもかなり腹が張っている物を使用します。このあたりの事や産卵のさせ方については、「土佐錦魚の謎」で詳しく書いているつもりなので、そちらを参考にして頂きたいと思います。

 冬囲いを取った後の準備ですが、上記の事に加えて用意をはじめなければいけない事は、産卵槽と孵化槽を用意する事を考えておく事です。2歳、親魚で飼育場は一杯などと言う方は、繁殖は諦めた方がいいと思いますが、それでもと言う方は、とにかく孵化槽を確保しておく事です。それと餌のメドもたてておきたいものです。私の場合は孵化後1週間はシュリンプ、その後2,3週間はミジンコ、後糸ミミズと言うパターンですが、シュリンプは誰でも入手出来るでしょうが、ミジンコと糸ミミズはそうはいかないと思います。私のように田舎に住んでいると、比較的ミジンコは入手しやすいです。しかし糸ミミズはそうはいきません。所謂ドブは昔のようには多くないと思いますし、下水道が普及した現在では、その存在すら見かけなくなりました。東京あたりであれば熱帯魚店でかなり扱っていると思いますが、他地区では殆ど扱っていないと思います。皆さんのなかで糸ミミズの扱っている店や、ドブの情報などまたありましたら、掲示板に書き込んで頂けたらと思います。

 ミジンコについて言えば、田んぼなどには田植え後1,2週間で沸きます。しかし農薬の関係などで全然沸かない田んぼも有ります。またこの頃には用水路(止水)に沸く事も有ります。ただ田植えの頃と言うと地域によって違いますが、6月頃が多く産卵の時期と少しずれる事も有ると思います。
 田んぼ以外で沸くのは、蓮田です。これも沸く所と沸かない所が有るので注意が必要です。また田んぼも蓮田も当然持ち主がいる訳ですから、そのあたりも考慮して採りたいものです。
 あとは池です。灌漑用の池などがよく沸きます。とくに養殖用の池に良く沸くようで、私の経験から言えば3月から5月位に沸くケースが多く、ちょうど産卵時期に合います。ただし粒の大きい物が多く孵化後1週間位では、稚魚の口には入らないと思います。
 糸ミミズが湧いているドブ(流れがゆるい)にいる事も有ります。特にドブで沸いているミジンコは粒に小さいものが多く稚魚には最適です。ただし与えすぎには、充分気おつけて下さい。鰓病に罹る事があります。

1月の飼育

ごらんの様に、すっかり冬囲いされた状態の家の金魚小屋である。駐車場の上に設置してあるので地熱と言うもの
が無く、非常に厳しい状況で家の金魚は冬を越している。当然冬囲いを取るまでは、餌を与えない。ただ1ヶ月に1度ぐらいは、蒸発した水を足してやる事だけはしてやらないといけない。この場合洗面器に水を入れそれに少し湯を足して、容器の水温よりも1,2度くらい高いものを足してやるのが基本です。
 写真に丸鉢がゴロゴロとならんでますが、水以外何も入ってません。たまにミジンコが少し泳いでますが。

 このように水温の一番低下する1月中旬から2月中旬にかけては、せいぜい足し水ぐらいの世話で、あとは波板が強風などで飛んだりしていないかを、チェックする事ぐらいです、私の場合は。[2002/1/12]

2月の飼育

  今日久々に金魚小屋に上がった。その時に親魚を撮ったのが次の1枚である。
 
 


 相変わらず見ずらい画像で申し訳無いが、2ヶ月近く餌を与えていないのに、そんなにやせ衰えていなかった今年4歳になる2尾である。まだ冬眠(完全に寝ている訳ではないが)状態であり、1分位で撮影も止めたが、順調であった。上側の白勝ち更紗がオス、下側の赤勝ちがメスで、オスのほうは2年前のトサキン保存会の品評会で2歳魚の部門で3位になったものである。やや小ぶりであり、それが昨年出品しなかた原因であるが、ご覧のように大きな後ろを持った欠点の少ない魚である。メスの方は更紗は中々美しいが、後ろに尾芯周りに皺がありこれが難点だ。
 
 今回はタイトルにそって産卵に対しての予備知識的なことを中心に、書いて行きたい。
上の2尾は種親として考えるならば、理想的とまでは往かない物の、及第点は与えられる組み合わせだ。
 トサキンを産卵させる時1番大事なのは、やはり親魚の組み合わせ方だ。考えなければ成らないのは
1 系統  2 体型  3 体色  4 尾形 である。

 まず1の系統であるが、土佐金もやはり色々な系統が他の金魚同様ある。但し、常に入れ替えていかないと形が崩れていくのが土佐金であり、すべてその年違う系統同士で掛け合わせる必要はないが、何腹かはそういった事をしていかないと良血は保てない。(あくまで私の持論)そういう事を続けないと品評会等で好成績は連続して残せない。
 但し、何でも良いから他の系統と言うのではなく、取り入れたい特徴のある物なのは当然だが。

 次に体型であるが、私が師匠に最初におしえられたのは、丸手のメスと長手のオスを掛け合わせると言う事、その逆でも構わないが、とに角基本である。丸鉢飼育と共に外せない基本である。丸手同士を掛け合わせれば確かに確立的にかなり丸手が得られる。しかし、丸手は尾が小さく泳ぎが下手であり、絶対に勧められない掛け合わせだ。

 3の体色であるが上の2尾の掛け合わせならば、更紗がかなり出てくる組み合わせであるが、あまり更紗に拘ると次の尾形のじこうで述べる事柄が出てくる。体色は理想は黒い(未褪色)物同士を掛け合わせることが1番、体型の良いものの出現率が高い。次に素赤同士が良いものをやはり出してくれる。私の過去の経験からそう言える。

 最後に尾形だが、上記3つにやはり関ってくるが、更紗同士、或は片方が白という採り方は私は好まない。少なくとも私は白を種親として使用する事はないし(各個人の考え方だが)、それによって更紗は多く出現するが、同時に尾形の悪い(特に反転が少ない)物が多いと私自身は考えている。キャリコ土佐金(この名前を口にするのも嫌だが)が殆ど反転しないのを見ても、やはり特に白は反転が甘い。私は個人的に素赤が1番と思っているので。
 それと桜尾はなるべく使用したくない尾である。確かに3つ尾と掛け合わせると皺の出にくい尾が出易いが、反面桜尾ばかり出ると言う事も非常に多く、一旦桜尾を入れると何年もそれに悩まされると言う経験を私も持つ。やはり皺の無い或は皺の少ない3つ尾同士を組み合わせるのが私のやり方だ。(2002年2月3日 記) 

 ヒーターを使用した産卵

 初心者の頃、ヒーターを使用して産卵させていた事があったが、その頃のことを少し書いて見たい。
らんちゅうをやってる人とかには、こういう事は別に何でもない事であろうし、あえて書く必要が有るだろうかと思いながらも、書いている。まずそのやり方だが、いつ頃産ませるかを設定して、冬囲いを取ることから始める。例えば今2月半ばだが、2月末に産卵を考えるなら、1月中旬に始める。天気の良い日中を選び、魚を掬って3分の1古水を残し水替えをする。この時水温が10度ならばヒーターを12度に設定する。昼間は覆いを取り夜間は波板などで覆ってやる。そして1週間毎に2度づつ設定を上げて、3週間後には18度になる訳だ。そこからヒーターはそれ以上触らず、天気のいい日が3,4日続くと産卵行動に入る。そして問題となるのが潮だ。
 例えば2月20日から大潮ならば週間天気予報で、その頃の天気と予想気温を新聞とかで調べる。その2月20日から4日間に晴天或は雨(但し温度が低くないことが条件)が続くようだと産卵の確率は高い。
 ここで断っておくが、当然3つ飼育槽は用意しておく事が条件だ。産卵後の孵化槽、オス、メスそれぞれを入れる飼育槽の3つが最低いる。更に孵化数が多いと容器が他にも必要なので、5つ位は用意したい。
 だが何れにしても、水替えに湯を用意したり色々と実際面倒な事が多く、私は絶対にやらない。特に丸鉢にヒーターを入れての飼育は絶対勧められないから。(2002年2月11日 記)






今日水換えを行った。全体の4分の1を行い、まだ4分の3は触っていない。上の画像はその時撮影したもので相変わらず見辛くて、申し訳ないがすべて3ヶ月餌を与えていなかった3歳魚である。土佐金は3歳が産卵には最適であり、この3尾は今年の種親の代表魚であり左上がオス、他がメスである。黒い個体以外は非常に見ずらい絵であり、本当に申し訳無い。下段のメスは非常に反転が良く、黒い個体も品評会レベルにある魚だ。左上のオスも更にいい魚なのだが、写真ではそれが伝わってこないのは私の写真の下手さ。実は昨年の「土佐金の集い」で評判の良かった魚である。残念ながら尾芯が飛んでおり、品評会魚ではないが、魚的には昨年の2つの品評会で共に準優勝した魚よりも、実際は全てに上回っている魚である。恐らく4月以降の産卵でこの3尾は活躍するだろう。(2002年2月23日記)

 3月の飼育

例年より1,2週間はやく今年は冬囲いを取った。左の物は、1週間前から餌を与えており、飼育水も透明に近い。屋根があるのでどうにか覆いを夜間しなくても、魚達は耐えている。
 右の物は昨日今日で冬囲いを取った。さすがに屋根が無いので、3,4度は朝の水温が低い。当然まだ青水にしているが、餌も与えている。しかしこの時期何度も言うが、少なめ控えめにやる事が大切だ。17,8度をコンスタントに超えるようになったら、しっかり与えればいい。
 とに角まだ産卵には早いので、じっくり焦らず水温の上昇を待ちたい。(2002年3月3日 記)

上の画像があの田中國衛氏である。3月15,16日に私を尋ねてこられ、左の画像はミジンコ池を案内した時のもので、その池の大きさに驚かれていた。この時はすでにタマミジンコが大発生中で氏も大変満足そうであった。
 右の画像はその後自宅に来られ、金魚小屋で色々と批評して戴いている所で、2月の飼育でUPしている3尾の種親は何れも絶賛して頂き、「ぜひ卵採って、私に送って下さいよ」との事だった。10年目にしてやっと師匠に来て頂きしかもいろいろとお褒めの言葉を戴いて、今後の飼育の励みになるのは間違いない。(2002/3/17日 記)